攻略記事

任天堂とDeNAの業務資本提携の考察まとめ

2015年3月17日、任天堂とDeNAは業務資本提携の締結を発表した内容についてネット上に散らばっている考察をまとめました。また、私の考察についてもいくつか追記しています。それぞれ、下部にその記事の補足事項を記載していますが引用元サイト内の情報ではなく、その記事を読んで私が思った事をつらつら記載しています。気になる記事があったらリンク先を辿ってください。

はじめに

2015年3月17日、任天堂とDeNAは業務資本提携の締結を発表しました。発表の詳細については様々なサイトが掲載していますので、以下のリンクを辿って読んでみてください。

発表内容

質疑応答はこちらで

以下はこの資本提携に関しての考察をまとめています。また、最下部に私の補足事項を追記しました。

任天堂とDeNAの提携についての意見まとめ

任天堂の場合、世界展開が必要

任天堂がネット戦略をすすめるにおいてもっとも不足しているリソースはおそらくウェブエンジニアではないか。それも大量に欲しいはず。一定レベル以上のウェブエンジニアを数百名程度提供できる余力がある日本のウェブ企業は、ソシャゲバブルの崩壊したDeNAとグリーだけだろう。任天堂の場合、世界展開が必要で、DeNAはベストチョイス。
引用元:任天堂とDeNAの提携について:かわんごのブロマガ - ブロマガ

ニコニコ動画を運営しているドワンド代表取締役の川上量生氏ブログより。任天堂のプラットフォーム再定義には、世界全体に通用する巨大なWEBプラットフォームが必要ですが、構築する技術を任天堂は持っていません。これはPlayStationNetworkとクラブ任天堂を比較してクラブ任天堂のショボさを見ていればわかる事です。任天堂はゲーム技術こそ今でも最先端ですが、オンライン技術については今一歩なところがあります。この技術克服が任天堂のメリットであると川上氏は述べています。で、DeNAへのキャラ貸し出しはその見返りとしています。一例として、DeNAは中国でワンピースのオリジナルスマホゲームをリリースしていますし、カナダやアメリカでは日本で配信していないアプリをいくつかリリースし、これも好調です。DeNAは成功する戦略を持っているのです。

独自のAndroidプラットフォームを

「任天堂プラットフォームの再定義」というのは「任天堂のコミュニティを通じてゲームをする仕組み」になるのではなかろうか。もっと言えば、PCで任天堂IPのゲームを遊べ、ゲーム機で遊べ、スマホで遊べる。 スマホはAppleとGoogleの支配下にあるが、それにだって任天堂は勝つ可能性はある。
引用元:任天堂、DeNAの協業でゲーム業界制覇の可能性も。有り得る最高の展開を考える。 GAMECAST

iPhoneの最新スマホアプリを紹介している有名ブログGamecastさんの考察。超ポジティブに捉えていて心を打たれました。巨大な一つのSNS的なコミュニティサービスを作りあらゆるデバイスで遊べる環境を作るのではと予想しています。そして、最も大きな到達点としてサードパーティーも取り入れた独自のAndroidマーケットを立ち上げるのでは?と予想しています。

AndroidはGooglePlay以外のAndroidマーケットからアプリをダウンロードして利用する事が可能ですが、Google Play一強になっています。しかし、Googleがいない中国は様々なAndroidマーケットが入り乱れています。日本ではGooglePlayには及ばないものの毎日1点無料セールを行うAmazonマーケットが奮闘しています。市場規模は小さいもののGooglePlayでは配信できない成人指定Androidゲームを配信するマーケットもあります。まだどの企業も成し遂げていませんが、方向性さえ詰めればAndroidはGoogleからプラットフォームを奪える環境にはあるのです。任天堂が仕掛ければ充分勝算がありそうです。

任天堂を知ってもらう

任天堂は以前から他のゲーム会社を敵と考えていない。では、任天堂の敵は誰か?それは"無関心"だ。任天堂が最も恐れることは、任天堂が人々の興味の対象から外れることである。スマホアプリで収益を得ることは提携の最大の目的ではない。彼らに「任天堂という会社はこういうキャラクターで人々を喜ばせる会社ですよ」というメッセージを届けることができれば、それで十分成功したといえる
引用元:[NS] 任天堂とDeNAの提携は何を目指すものなのか

任天堂ファンサイトN-Stylesさんの記事。出てくるスマホアプリは収益を上げるものではなくキャラクターの魅力を伝える事にあります。特に10代以上の世代はなんらかで任天堂と関わった方が多いですが、ゲーム機離れが加速すると若い世代の興味が薄くなります。施策の前例としては任天堂はカナダですでにテスト的なカードバトルポケモンアプリPokémon TCG Onlineと知育ポケモンアプリ[{}]をリリースしています。両者とも課金ではなくポケモンの魅力を知ってもらう事を意識した内容になっています。DeNAの事があるので課金で利益を得る必要はありますが、課金圧力が高くなるゲームがリリースされる事はほぼないと考えられます。

また、当記事では新ゲーム機NXが据置型と携帯型を統合するゲーム機の第一弾ではないかと想像しています。WiiUもコントローラーに画面が付いていて携帯型の方向性を提示していましたが、NXはスマホと統合する事でスマホと相互に補完するゲーム機になる可能性がありますね。

課金は子供にも安心な方式

当面はDeNA側としては下請け的立場でシステム面の開発を行っていくので、表立って何かが出てくることはない。会員制サービスはほぼ任天堂側の要求を実現させる形での開発となるだろうし、ゲームについてもゲーム性などは任天堂側の開発による意向が強くなる
引用元:任天堂とDeNAとの業務提携で任天堂はガチャ等に手を出す心配を岩田社長の発言から読み解く
そろそろ、携帯ゲーム機と据置ゲーム機の垣根を取り払ってもいいのではと思う。1つのソフトを開発したら、両方でプレイできるような感じの仕組みが出来ないのかと。据置ゲーム機と携帯ゲーム機の一体型のゲーム機みたいなものがあれば、ソフト資産を有効に活用できるように思う
引用元:任天堂新型ゲーム機NXは直近のゲーム機の失敗点を改めない限り成功は難しい、その失敗と成功の道は?

ブログ「まこなこ」より。2記事あげていたので、それぞれから引用しました。N-Stylesさんと非常に考え方が似ていますね。私の予想では課金面は日本性ゲームのガチャでも欧米製ゲームの時間を購入する形よりも中国や韓国製スマホゲームで採用しているキャラクターや武器などが展示されていて、それを購入する系統になるのではないかと思っています。任天堂IPの魅力を持った人だけが課金する方法なので一番健全的と言えば健全的ですね。もちろん、記者会見で新たな利益向上の仕組みを作ると述べていたので他者の完全なコピーになるとは思えませんが。

ゲーム機の発想は私も強く感じていた事です。例えばSONYのPLAYSTATIONだとPS4,PS3,VITAの3機種で発売はざらにあります。しかし、ユーザーは携帯と据え置き機両方で発売された場合、どちらでもプレイしたい場合、同じコンテンツを2つ購入しなければいけません。それが新型で解決する可能性は充分にあるでしょう。

強いIP利用

ディズニーツムツムとかが大ヒットしたように、強いIPを利用したゲームは海外展開で大きな武器になる。その意味で、任天堂は自前プラットホームをゆっくり作ってる場合じゃない情勢だと考えてる
引用元:任天堂☓DeNA業務提携。業界地図に与える影響は? | ハーバービジネスオンライン

ハーバービジネスオンラインより。私は少しこの意見には否定的です。任天堂はスマホを利益追求のためのデバイスとは位置づけていません。あくまで任天堂IPの魅力を伝えるための手段と捉えています。この考えはどちらかと言えばDeNAが持っているでしょう。ただ自前プラットフォームをゆっくり作る場合じゃないのは誰もが認めるところと思います。

DeNAが逆に任天堂へIP提供もあり?

DeNAが持つゲームキャラクターなどのIP(知的財産:ソフトやキャラクター)を、WiiU(ウィー・ユー)、ニンテンドー3DSといった任天堂のゲームプラットフォーム向けに展開
引用元:「強みの相乗狙う」 DeNA、任天堂と業務提携

注:引用元は虚構新聞なので嘘記事です。

嘘記事ですが、人気スマホゲームを家庭用ゲーム機に逆移植するのはありだなと思ったのでとりあげました。すでにガンホーは人気スマホアプリ「パズルアンドドラゴンズ」の3DS版「パズドラZ」を3DSで発売しており、マリオとコラボした「PUZZLE & DRAGONS SUPER MARIO BROS. EDITION」も発売を控えています。今回の業務提携はあくまでプラットフォームの構築とスマホゲームへの任天堂IP利用の2つですがDeNAのIPを逆に任天堂に提供するものありですね。

健康事業

DeNAは、住友商事と合弁会社を設立し、2015年4月からデータヘルス事業「KenCom(ケンコム)」を開始する。任天堂もすでに健康事業への参入を明らかにしており、この点でも提携することになるのか、注目が集まる
引用元:任天堂がDeNAと業務資本提携を発表、新型ゲーム専用プラットフォーム「NX」開発中 | AUTOMATON

ゲームレビューサイト「AUTOMATON」のちょっと興味深い記事。任天堂の健康事業に関しては睡眠計測デバイスを発表しています。これは医療機器メーカー米ResMed社と提携した事業です。

海外の見かた

かなり好意的な意見が多数を占めています。リンク先がまとめになっているので当サイトでは論表しません。リンク先をご覧ください。

私の所感

上記考察サイトがほとんど私の言いたい事を述べていますが、触れられなかった点を少し述べてみます。

ヴァーチャルコンソール

プラットフォームにユーザーを集める試作として1つ考えられるのが、過去資産を活用するヴァーチャルコンソールをスマホやPCにも提供する事があげられます。スクウェアエニックスはストリーミングサービスDIVE INですでに家庭用ゲーム機をスマホで配信しています。ソニーもPS1~3のゲームをストリーミング形式で最終的にはPS4以外にもスマホに提供する事をPS4発表会の時に述べています。つまり過去資産を自社ゲーム機のみに提供する時代は終了する時期にきていると思います。幸い、DeNAが作る任天堂プラットフォームで購入者を特定できるのでもし実現すれば過去の名作が一度の購入で任天堂用ゲーム機、スマホ、PCで遊べる算段となります。

スマホと新型ゲーム機NXを結びつけるゲーム

任天堂は2画面のDS、WiiUコントローラーを使ったWiiUと斬新な発想の遊びを提供してきました。よって考えられるのが家庭用ゲームとスマホゲームの連動要素。単純にレアアイテム1枚貰えますよレベルでなくてもっと大きな枠組みで連動を仕掛けてきそうな気がします。例としていくつか挙げておきます。

  • 2画面のように特殊な機能を用いた新型家庭用ゲーム機ではある遊び方ができ、スマホはスマホで別の遊び方ができるなど1つのゲームで2つの方向性を持つソフト。家庭用ゲームをスマホに最適化させるのではなく、遊び方や体験方法も全くの別物。
  • スマホのタッチデバイスを用いながら操作する家庭用ゲーム機
  • 対戦用ゲームでスマホは自分視点の1画面、家庭用ゲーム機では対戦相手も含めた全視点の分割画面

ざっと今思い浮かべるだけで考えられる機能です。

新たな課金方式

「フリー・トゥ・スタート」、アイテム課金の全てを一律に私は否定するつもりはありません。ただ、世の中で「これは少しビジネスとして行き過ぎじゃないの」とか、あるいは「これって子供さんに向かって提案していいの」と言われているような方法が任天堂のIPで使われることを任天堂は望んでおりません
引用元:任天堂株式会社株式会社ディー・エヌ・エー業務・資本提携共同記者発表質疑応答

上記でも述べましたが、アイテムは最初から表示していて価格もいくらという形になるのではと思っています。確かにガチャのように☆5を数万使って入手してもらうような無茶な課金はできませんが、言うなればゲーム内に商品(つまり広告)が常時表示されている状態になるわけです。この課金方式は中国で成功していますので問題ありません。そこにさらに任天堂はプラスアルファしてくると思います。例えばアイテム購入者はそのアイテムの壁紙が貰えるなど。言うなればゲームを通して電子商品を購入してもらう形式ですね。ちなみに私は中国のゲームをいくつかプレイしていますが、これガチャに興味ない私でも課金意欲を刺激しますよ。

新興国への提案

新興国の中でハードを売るチャネルがないとか、ハードを最初に買っていただくための価格的ハードルが高すぎて、なかなか私たちの商品が届かないということは事実で、スマートデバイスで私たちのIPが提供できるようになると、その問題は一つ解決するという面があります。一方で、これだけで全てが解決するかというと、おそらく新興国の展開というのは、このスマートデバイスに加えてもう一工夫必要だと思っています。
引用元:任天堂株式会社株式会社ディー・エヌ・エー業務・資本提携共同記者発表質疑応答

どの考察者も述べていませんが、私が個人的に気になってのはこの部分です。例えばマクドナルドやコカコーラは新興国の人々に新しい体験を味わせて業績を伸ばしていきました。ゲーム産業に関してはアフリカだとナイジャリアを中心とした一定水準の発展を遂げた国、中東だとサウジアラビア含め数多くの国々の人々がゲームをしています。しかし、農村部を中心とした貧民層を中心にスマホを入手できない人々もいるのです。彼らにはゲームを体験する方法がないので他の手段で任天堂のIPを知ってもらう必要があります。具体的な手段はわかりませんが当面は「商品」を販売するのでなく「ブランド」を知ってもらう施策になると思います。そのためにはスマホゲームの提供だけでなく、どの国でも必要とされる商品に任天堂のIPを使う施策が考えられます。衣食住ですね。それらを安定した品質を保ち安価で提供する現地企業に安価で提供して(もしくは逆にお金を払って)販売してもらう手段があります。マクドナルドなどは徹底した宣伝とこれらの施策による口コミで人気を博してきました。新興国はまだ独自のIPが少なく売っていけるチャンスと感じます。まあ少なくとも任天堂の豊富な資金を使った施策になるだろうとは思います。

まとめ

今回のDeNAと任天堂の事業提携は日本海外問わずゲームファンや投資家達の間で話題になっています。まとめたところ、ゲームに深く関わっている方達ほど肯定的にとらえている事が興味深かったです。逆に投資家は否定的な意見が目立ちましたね。質疑応答などを読むとスマホゲームへのIP提供には今後も慎重に対応しIPの無駄使いはしないと述べており、基本的な任天堂の方針は何も変わっておらず1年前からわずかに出していた情報から読み取れる内容をそのまま発表しただけのものです。安易なガチャに頼る事がない良質なスマホゲームを提供し巨大なプラットフォームを構築する事にワクワクせずにはいられません。

関連リンク

このページのコメント