攻略記事

スマホRPG・ソーシャルゲームのリセマラ批評論

ソーシャル要素・ガチャのシステムを導入しているスマホゲームはリセマラがほぼ常識化しています。このリセマラがどういう利点がありどういう弊害があるかをまとめました。初心者用にスマホゲームをよくプレイしている人なら誰でも分かる事まで書いていますがご了承ください。

リセマラとは

「リセマラ」とはリセットマラソンの略称です。インストールしたゲームをアンインストールして再度インストールする行為です。ガチャを導入しているスマホゲームの多くはチュートリアルのプレイ終了後に通常500円ほどかかるレアガチャを1回無料で回せるようにしています。レアガチャは確率1~3%程のSSR,確率8~15%程のSR、それ以外のRの3段階に分かれています(*1)。確率が低いアイテムになれば能力も大きくなりゲーム攻略に有利となります。また、同確率でも希少で便利な能力を持つアイテムもあります。

初回無料で回せる事がポイントで、初回ガチャで欲しいアイテムが入手できなかった場合、アンインストールする事で敢えてゲームを初期化して再び初回ガチャを行います。欲しいアイテムを入手できるまで繰り返す事をリセマラと言います。

リセマラは本当に必要か

まず私の結論から述べておくと、リセマラを望むユーザーがいる限り、プレイの幅が広がる点において必要性のあるシステムだと感じています。しかしリセマラにも弊害があるため、プレイヤー側もリセマラの欠点を正確に理解しておく事が大事です。

リセマラの歴史

私が知る限り、リセマラが流行った最初の時期とタイトルは2012年頃でパズドラ(正式名称パズル&ドラゴンズ)です。他タイトルでも存在したかもしれませんが、リセマラが有名になったのは間違いなくパズドラの影響でしょう。当時はスマホネイティブアプリがまだ少なく、GREEやモバゲーが全盛期時代を迎えている頃でした。両サイト共ゲームはアカウントと紐付いており、アカウントは1つと規約で定めているため実質のリセマラは不可能でした。(*2)

最初期は名称がなく、初回に強いモンスターを入手する行為は裏技と称して自己責任で使用して下さいと注意の元、小さなサイトや2chで手法が明かされていました。だんだん認知されていき、次第にリセマラと略すようになりました。当時はシステムの不具合を利用した悪質な行為でいつアカウントが削除されてもおかしくないような考え方もありました。

やがて、リセマラによってインストール数の水増しができる事に気付いた各種ゲーム企業はわざとリセマラができるシステムでゲームを配信するようになりました。黒猫のウィズ、モンスターストライク、DQスーパーライト、白猫プロジェクトを中心に人気タイトルは全てリセマラ可能になっており、リセマラの認知度は2012年後半~2013年急激に増しました。現在はメーカー公認(*3)の元、どうどうとリセマラができます。

リセマラが企業に与える影響

ダウンロード数の水増し

Androidゲームのアプリ配信ストア「Google Play」、iOS(iPhone、iPad等)ゲームのアプリ配信ストア「iTunes」は共にダウンロード数が表示されるようになっています。プレイヤーはリセマラ毎にインストールとダウンロードを繰り返します。リセマラ回数分のインストール数がダウンロード数となります。そのため、インストール人数が実際10人だとしても10人が10回リセマラしていたらダウンロード数は100となります。

リセマラ可能なゲームだと「1週間で100万ダウンロード突破!」などざらに見かけ、人気タイトルだと「とうとう1,000万ダウンロード突破」となります。この数字が出ると人気タイトルだと人々の頭に植え付ける事が出来、株価にも影響を及ぼし広告効果は絶大です。

ただ、リセマラが流行ってきた初期と異なり、リセマラ搭載ゲームが増えた今、この数字は珍しくありません。水増しの恩恵はあまりなくなりました。

ユーザーの囲い込み

リセマラは時間を使います。そして、単純作業は人間の気力も奪います。最高のアイテム取得を目指して何度もリセマラを繰り返したユーザーは気軽にゲームを乗り換えたりできないでしょう。リセマラはアクティブユーザーを増やすきっかけにもなります。

課金ユーザーと無課金ユーザーの差別化問題

リセマラを行なうと無課金ユーザは一気に強くなります。商業ゲームとして利益を上げる事を考えるなら課金ユーザーと無課金ユーザーの差別化は絶対にしなくてはなりません。幸いゲームバランス的には1アイテムしか強力なアイテムを持たないリセマラユーザーと複数の強力アイテムを持つ課金ユーザーでは差別化ができます。その影響はアリーナやギルドバトル、レイドバトルなどに影響します。

しかし、差別化で一番の問題となるのがフレンド枠です。フレンド枠は一番強いアイテムの選択が普通です。そして最高アイテムの場合、無課金ユーザーと課金ユーザーで区別がありません。ここでリセマラ無課金ユーザーと差別化を図る必要があります。

対策として見かけるのが、次の通りです。

  • レアガチャの種類を複数用意して初回ガチャは1つしか利用できないようにする。
  • 強力アイテムが複数ないとクリアできないイベントを用意して報酬はさらに強力なアイテムにする。
  • 同アイテムで合成すると、そのアイテムがさらに強化される仕組み(いわゆる覚醒)を作る

これらのシステムはリセマラの影響だけで導入されているわけではありませんが、一因になっている事は確実です。

プレイヤーに与える影響

気力

リセマラは単純作業の繰り返しです。単純作業ほど時間が長く感じるのが人間です。リセマラで最高アイテムを狙うのに、かなりの気力が必要です。そのため妥協するプレイヤーも数知れず。

時間効率

リセマラは大抵のゲームで1回10分費やします。SSR3%、SR10%としてSSRを入手できる時間を考えてみます。SSRは30回程回して60%の確率で入手、60回程回して80%の確率で入手できます。p:なお、大抵のゲームはガチャ1回500円です。1回10分としてこれらを考えると次のようになります。

  • 30回→5時間、15,000円
  • 60回→10時間、30,000円

一般的なスマホRPGで最高アイテムを狙うリセマラは15,000円~30,000円の価値がある計算にあります。ただ、最高アイテム入手時までに入手できる準最高アイテム等の入手はできません。なお、時給で考えると3,000円ほど。貴方がリセマラをするかどうかは、該当ゲームをプレイするとして、これを高いと考えるか安いと考えるかで決めればよいでしょう。なお、60回試行の80%は5人中1人が該当しない確率である事も知っておかねばなりません。40人クラスの学級で8人が該当する数字と考えれば分かりやすいでしょう。

配信開始時の進捗

リセマラは大量の時間を使う行為であり、リリース直後のスタートダッシュなどにのり遅れる事を意味します。

リセマラの弊害

自動バックアップがない

リセマラは他機能に大きな影響を与えなさそうですが、実は大きな影響があります。それは端末バックアップです。リセマラができるゲームは端末の自動的なバックアップ機能がありません。敢えてバックアップ機能を消して初期化させる事がリセマラなので当たり前ですが…。何らかの事故が起きた場合やアンインストールした場合、自分が育てたアカウントは救助不能になります。必ず各ゲームのバックアップ方法はチェックしておき必要に応じて処理をしておきましょう。大抵、IDとパスワードを入力する画面があります。個人的にはリセマラが普及した一番の弊害だと思っています。

時間の浪費でプレイ意欲を失わせる

何事にも完璧にこなす人はリセマラも完璧にこなそうとします。するとリセマラだけで疲れてしまってゲーム本編を楽しめない場合があります。新作ラッシュが続くスマホゲーム業界、リセマラをしたくなるタイトルは多数あります。しかし、ゲームが楽しめないのは本末転倒です。ほどほどにしておきましょう。

リセマラ防止

ゲームタイトルによってはリセマラができないような仕組みにしています。私が見た事のある防止方法は次の通りです。

端末と紐付かせる

端末と紐付く事で単純なアンインストール、インストールを禁止します。この場合、どうしてもリセマラしたければスマホ(タブレット)を初期化する必要があります。なお、Androidの場合、初期化しても紐付いている場合があります。

端末とアカウントが紐付いてバックアップができる強みがあるので、私は一概に否定していません。Androidの場合、中古タブレットなどを購入した時に前のアカウントのせいで新規で始められない事もありますが。

初期ガチャで入手できるアイテムは決まっている

私が見たことがあるパターンだと初期ガチャは必ずSRが入手できるゲームがありました。また、Rしか入手できないゲームもありました。いずれにせよ初期ガチャで入手できる範囲でリセマラはできますが、実質的に幅を広める手法があります。

リセマラできるまでが長い

初期ガチャができるまで約1時間かかる、初期インストールに30分以上かかるようなパターン。時間効率を悪くする事でリセマラを防止しています。

リセマラの裏技っぽい事

事前登録

近年のスマホゲームは、90%以上のゲームが事前登録できます。事前登録の種類は、限定アイテムか課金通貨がほとんどです。あとは抽選で何名様にiTunesカードプレゼントのような抽選系ですね。限定アイテムの場合はリセマラが終了するまで使う必要がありません。課金通貨の場合、それは1回のリセマラで他のユーザーより余分にガチャを回せる事を意味します。なので、リセマラ用に複数のメールアドレスを用意して全てのメールアドレスで事前登録しておけば、事前登録数分リセマラ時にガチャが余分にできる事を意味します。なお、事前登録数を水増しできるため、複数の登録を禁止していないタイトルもあります。(禁止していないと言うより規約に書いていないだけですが……)

招待掲示板の利用

招待掲示板を利用する事で課金通過を取得できる事があります。招待する事は難しいですが、招待される事は簡単です。1回~2回ガチャが余分にできますので是非やっておきましょう。

チュートリアルより先に進める

ゲームによってはチュートリアル終了時点でリセマラを開始してしまうと勿体無い事があります。先に進むと短時間の間に複数の課金通貨を入手できる可能性があるためです。「ゲームタイトル リセマラ」で検索すれば大抵のタイトルはそのあたりの情報がありますので、リセマラでどこまで進めばよいかは事前にチェックしておきましょう。

自動ツール

リセマラ用の自動ツールが販売されているようです。試した事がないのでなんとも言えませんが、1回行った動作を何度も自動で繰り返すツールのようです。放置するだけでリセマラが可能。ただし、設定は複雑で時間がかかりそうです。ユーザーが行なった動作を繰り返すだけなので、通信遅延などが発生したらその後の動作は全て狂うはずです。使用する場合は注意して下さい。

リセマラの必要性

ゲーム難易度とリセマラ

さて、各ゲーム、リセマラが可能ですがリセマラが必要かと問われるとゲームプレイ方法次第だと思います。近年のスマホゲームは一般的に無課金ユーザーがストーリーモードをクリアできるバランスで難易度を組んでいます。つまり課金するとストーリーモードがヌルゲーになります。一見、課金者に面白みのない仕組みですが、ユーザーバトルや高難易度ダンジョンなど課金者が楽しめる独自の仕組みも入っているため難易度は無課金者・課金者共に楽しめるよう作られています。ただ、リセマラの場合、中途半端に強くなるため、高難易度ダンジョンを楽しめず、ストーリーモードもヌルゲー化する可能性があります。その事を注意しておく必要があります。無課金で俺つえ~感を楽しんだり、長期プレイを見越してアカウントを強化していくならリセマラは重要です。

私のリセマラ方法

私はリセマラをしないだけでなく、序盤に運良く高レアアイテムを入手してもしばらく封印しています。だいたい60%の確率で入手できるだけ課金通貨をゲーム内で入手したあたりで1体SRを使用するなど、ある程度運営側が想定している難易度でプレイしていきたいと考えているからです。

リセマラのおすすめ方法は、このゲームは長時間やるぞ!と思った時にプレイをやり直す事です。ゲーム開始はリセマラ無しで初めてある程度プレイし、このゲームは長時間プレイできるぞ!と確信を持った時に改めてリセマラをする事を勧めます。でないと、出始めから面白さに気付く事なくリセマラ疲れで飽きてしまいます。

リセマラが作った自由度

進めれるまでひたすらクエストを進める、序盤でひたすら曜日ダンジョンで強化を繰り返す、イベント限定アイテム入手までひたすらイベントを行なう、スマホRPGの楽しみ方は人それぞれです。その楽しみ方の一つに「リセマラ」がある事を忘れてはなりません。RPGはインタラクティブであるべきです。なぜなら自分がその世界の住人になり選択して何かが変わるジャンルをRPGと称し、RPGの醍醐味であるからです。スマホRPGをRPGと呼んでよいのかは疑問の余地が残りますが、戦闘強化方法の1つとして立派な選択になるため有用であると考えます。

おまけ:リセマラ関連用語

リセマラ疲れ

lp:リセマラを繰り返しても望むアイテムを入手できず、自身の気力が無くなってしまうこと。大抵、適当なSRレベルのアイテムで妥協する事になる。

自演招待リセマラ

端末を2台使い、交互に招待しあう事で2倍のスピードでリセマラを行いつつ招待特典まで入手する方法。一応、現在でも邪道と認識されているため、アカバンの覚悟が必要。(アカバンされた事例を聞いた事がないが)

リセマラ対策

上記参照。企業側がリセマラをできないようにゲームシステムを調整する事。リセマラが常識となった今、基本的に嫌われる。

リセマラユーザー

リセマラをしてプレイを始めるユーザー。ゲーム中に一定数いる。

注釈

  • (*1)ゲームによって確率やレア度の名称は異なりますが、ここではR、SR、SSRとしています。
  • (*2)現在はGREE、モバゲー共ネイティブアプリはアカウントと紐付かない簡易登録が可能であり、簡易登録の場合に限りリセマラが可能です。また、簡易登録からアカウントとの紐付けも可能なためリセマラしてから本登録する事ができます。
  • (*3)正式には公認していませんが、リセマラができるシステムになっていれば暗黙の公認状態です。リセマラしたアカウントが削除されたら、それこそ一大ニュースになり、そのゲームは終了してしまうでしょう。

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