攻略記事

ガントレット(アーケード)

思い出

 当時小学生だった頃の私の印象として、『ガントレット』というこのゲームは終始怖いというか暗いというか、そんなイメージのゲームとして目に映りました。
 まぁ、内容が内容なだけにあながち的を外している訳ではないと思うのですが、絶望的数値とも言える敵の大軍を常に相手にしつつ、到底処理不可能な敵の群れの中に突入し強引にキーアイテムを奪取、その足でさらに奥に設置されるネクストステージの位置まで…やはり敵の軍勢の中をタコ殴りに遭いながらも強引に突き進んで行く…。勇者だか冒険者だかは知りませんが、この主人公たち、無謀でも蛮勇でもなくただのアホですな。…そんな印象でもありました。…あ、ちなみにこれ、褒め言葉ですから。
 だいぶ古いタイトルな上に海外メーカーの輸入物らしいので現代っ子にも判り易く説明しましょう。

その1
 例えば『三国無双』とか『ガンダム無双』とか、俗に言われる『無双シリーズ』ってあるじゃないですか。アレ、敵がウジャウジャ出てきて常に囲まれてる印象が強いじゃないですか。でも、システム上の関係かそういった設定なのか、仮に自分の周りに100体の敵が居たとしても、画面内に現れる敵はせいぜい20体くらいですよね?
 でも、ガントレットの場合は違います。100体の敵が出現したなら迷うことなく画面内に100体が表示されます!

その2
 無双シリーズの場合、敵がどんなに多く、プレイヤーの行く手を阻んでも、プレイヤーの操作次第で十分に敵の群れを素通り出来ますよね?
 でも、ガントレットの場合は違います。どんなに目的の場所が目の前にあろうとも、正面突破を試みるならば手前の敵を逐一駆逐しなければ先に進めないどころか、僅かな操作ミスを起こそうものならせっかく倒した敵のマス目に次の敵が割り込んできてしまいます! 本気の足止めを目の当たりにします!

その3
 無双シリーズの場合、たとえ相手が1000人居ようと2000人居ようと一人一人撃退していればいずれ全滅出来ますよね? 例えば敵が出現する特定位置があっても、増援にはある一定の時間が必要であり、普通にプレイしていれば増援個所の制圧もさほど苦戦しない筈ですよね?

 でも、ガントレットの場合は違います。冗談抜きで増援タイミングが早く、それこそ無限増殖と言えましょう。画面が敵で埋まるのを指折り数える必要もありません。見りゃ判ります。嫌でも。そんな敵の出現位置があっちこっちにバラ撒かれています。

その4
 無双シリーズの場合、窮地脱出用に広範囲攻撃や必殺技があるじゃないですか。ジャンプ攻撃でダウンを狙ったり、連続攻撃を利用して周囲の敵を巻き込んでみたり、多彩な『技』があるでしょ?

 でも、ガントレットの場合は違います。一度の攻撃はあくまで一度の攻撃としてカウントされ、範囲もなければダウンすら存在しません! 僅かな救済で特殊攻撃は存在しますが、アイテムを持っていなければ話にならないし、それでもダウンが存在しないため、画面上の敵の体力を奪う程度なのです。相手の数は変わりません! ええ、もちろん攻撃力も変わりませんともっ!

その5
 無双シリーズの場合、敵の攻撃に加減があるじゃないですか。プレイヤーのように連続攻撃の連発をしてこないし、プレイヤーと同じだけの攻撃回数を全ての敵が行う事は無いですよね? そんな攻撃されたらまさに1対1000の戦いになってしまい、プレイヤーに勝ち目は無くなりますからね。…でしょ?

 でも、ガントレットの場合は違います。違うんです! プレイヤーが純粋に向いている方向の1か所にしか攻撃できない事に対し、あちらさんは最大で8方向からプレイヤーを取り囲みフルボッコフルコンボ(?)狙ってきます…! 間接攻撃可能な敵が居たりしたら…………!!

 …まぁね、そんな感じのゲームだったのですよ。最大4人が同時にプレイ可能なゲームですが、ワイワイプレイの意味がイメージとずいぶん異なってもおりまして、一つの回復アイテムを奪い合うようなゲームでもありました。だって、立っているだけで体力が消耗しますからね。攻撃を受けてももちろん消耗しますよ。とにかく消耗するばかりのゲームなんです。…そうですね、知っている人ならわかるでしょう。このゲーム、100の体力を回復するために300の体力を消耗するのですよ。フフフ…。


 こんな感じの操作パネル。同時プレイだと画面の見やすさ、利き腕、立ち位置及びスタイル、隣に立つ友人との相性などから意見が割れる。また、操作パネル位置に難があり、ちびっ子だとレバー操作も画面確認も苦労する。上っても壊れない椅子と、その行為に怒らないゲームセンターの管理人が必須。

 解り難そうで実際解り難い、それでもなんとなく伝わる全編外国語のゲーム説明。当時の小学3年生には荷が重い。

 どれが敵って、全部敵。この場合は中央やや上の戦士以外の全てが敵。もう囲まれている…。え? 少ないですか? 右上見てください。ここ、『LEVEL3』なんです。全ステージ? 判りませんがパターン的に100面じゃないんですかね?
 ちなみにこの場合、骨のようなものが敵の巣となり、そこからゴーストっぽいのが出てくるんです。数えてみて、7個あるでしょ? 1匹相手してると、その間に7匹出てきちゃうの♡ ゾクゾクするね☆

はなうたBGM

 実はこのタイトルの背景を理解しておらず、私は地下迷宮を突き進むようなダンジョン系列と決め付けています。
 …ので、私の決め付けた背景をメインベースとするBGMとして話を進めていきます。拒否されても進めます。覚悟なさい。
 なんて言っておきながら、実はBGMを知りません。何せ洋ゲー…と言ってしまっては失礼ですが、なんだか外人チックなアクションボイスが非常に印象強く、とりわけ被ダメージ時の悲鳴ばかりが私のBGMとなっています。…つまり、終始囲まれ続ける主人公が死ぬまで悲鳴を上げ続けているわけですね☆ 最悪です。
 それでも本格的地下ダンジョンゲームというジャンル下では、それこそ正統な出来と言えるでしょう。プレイヤー側から見る『敵』とは、敵側から観る『侵略者』にすぎません。
 地下迷宮で平和に暮らす魔物たちに突如訪れた正義という名の侵略者たち。外の世界で自分たちがどう噂されているかは知らないが、勝手に乗り込んできた上に家を壊され財宝を奪われ食糧を取り上げられるなんて黙って見ていられる訳がない! こうなったらか弱い存在でも協力し合えば、手と手を取り合えばきっと勝てるところを奴らに見せつけようじゃぁないか! 一致団結だ!!
 そんなか弱き地下迷宮の住人たちがみんなで一生懸命作り上げるBGM…それがプレイヤーキャラの『悲鳴』なのです…!

 ま、『悲鳴』以外のきちんとしたBGMにも聞き覚えがありますよ。
 それは次のステージに移る際のBGM…とでも言えば良いのでしょうか。面切り替え時の引き立てにすぎませんので非常に短いのですが、ホラー的な要素の強いこのタイトルであればピッタリの曲と呼べましょう。他の分野で聴き覚えがありそうで…たぶんきっとある…けど、なんか違う。好奇心と興奮と不安をかき混ぜたような、なんとも言えないノリでして、うーん、いかにも洋モノでもありますね。わかりやすい。

病み付き度合いは体力次第!

 近くのゲームセンターにいつの間にか設置された、全編英語の立ちながらプレイするスタイルのヘンテコゲーム。デモ中のキャラクターボイスが常に聞こえるため、店内が静かだと向こうの方から『おぅっ!』『あぉぅっ!』…みたいな悲鳴が聞こえてくるので正直、耳障り以外の何物でもない。
 でも、これだけ耳障りだと返って気になるもので、興味マイナスでズカズカ接近。……………まったくもって読めない。日本語どこ? あった。え~と、『ガントレット』? ガントレットって、手の防具だよね? …手を守るゲーム?
 とってもそうは見えないゲームなんですけど…。

 そんな印象を持つには持って、すぐに踵を返して元の位置へ。とりあえずよくわからないゲームという事だけはよく解った。
 そんな、ある日の事…。普段は誰もプレイする姿を見た試しがないこのゲーム機に4人の人がなんだか騒がしくゲームしている場面を目撃。プレイ者の身長が高くて画面がよく見えなかったけど、どうにか見る事ができる部分からするに非常に意味不明な場面が…。
 4人が4人とも敵に完全包囲されており、攻撃受ける受ける…。難しそうとかそんなんじゃなくて、ゲームとして成立していなさそうな…そんな『無茶苦茶』という言葉が可愛らしく思えるほどにピンチ状態がずっと続いている状況だった。今で表現するところの『無理ゲー』そのものですな。お金のムダムダ。
 という事で、私はそんな彼ら4人から離れ、いつものゲームにコイン投入。後ろからはまだまだ騒ぎ声がひたすら聞こえる。
 で、私、ゲームオーバー。R-TYPE自己記録の6面。いつも通りの展開だったけど、まあいいかと席を立つ。…すると?
 まだ続いていた4人組。2人は既にゲームオーバーに見舞われていたらしいけど、それでも長過ぎない? そのゲーム…? まだ残された2人は敵に囲まれてボコスカにされているし…。
 ワイワイガヤガヤと騒ぐだけ騒ぎ、全員がゲームオーバーになると颯爽と消えていった4人組。呆然と残された筺体を眺める私は恐る恐るその場へと足を運び、『一体このゲームのどこが面白いの?』という内心むき出しでしながらも、コイン投入口に目が行ってしまう。そんで驚愕の事実!『1プレイ100円』!! 全台50円プレイ可能だと思っていたこの店に100円ゲームが存在していたとは…! しかも、よりによってヘンテコ極まりないこのゲームが…!?
『おばちゃん、これ間違ってるよ!』と店主のおばちゃんを呼び出したい気持ちも山々だったが、きっと隣におばちゃんが立っていてもそんな事言わなかっただろう私は無言のまま新境地に赴く事を決断してみた。さらば100円! 君の雄姿は忘れないが、きっと数分後には後悔している事だろう!
 なんて思いはここに書いている今現在思い付いたわけで、当時はそんな事も考えられなかった私は無心で100円玉を入れてみた。
 キャラクターセレクトなんてこんな時代に存在しておらず、4か所存在するプレイパットのスタートボタンを押した所がそのキャラを選択したとなるらしい。…が、それは後に判明した事で、私は『青がいい』と理由でそこでプレイ。…しまった! 女だった! …まぁいい。これはお試しプレイなんだ。
 ゲームをスタートすると、訳も分からないまま本編スタート。もしかすると何かしらの説明があったのかもしれないが、英語なのでそれこそよく解らない。
 レベル1とされるフロアは大した難度ではなかった。マップも狭く、敵の出現も少ない。とりあえず判った事と言えば、プレイヤーは立っているだけで体力が減り続けるということだ。そしてアクションシューティングのようなスタイルみたいで手に持つ武器では直接ダメージを与える事は出来ず、攻撃アクション時にその方向に飛ぶ弾のような存在で敵を倒すらしい。私の場合は女剣士のようで、飛ばされる弾は剣だった。そして連射性が悪い。これじゃ敵に囲まれるのも当然の話で、少しレベルが進むとたちまち囲まれる羽目に。これじゃ一昔前に存在した人気バーゲンセールに赴いたおばちゃん役だ。うじゃうじゃと寄りつく他のおばちゃんたちを掻き分け、目的の品物までずんずん進み続ける…オバタリアン…! そんなゲームだ。
 デモなんだろう、こんなにもみくちゃにされていてもなかなか死ぬ事のないこのキャラクターは? 普通のアクションゲームなら3秒と持たない攻撃のラッシュ。でも、死なない。
 どうしてかと現在ライフらしき場所を見ると、残り10000チョイ。しかも相手から受けるダメージ量は5とか7とか…だったと思う。なるほど、1万以上もある体力なら先程の4人組がひたすら長く遊べた理由もわかるというものだ。しかも常に敵だらけ。騒ぐ気がなくとも騒いでしまいそうだ。
 しかし、今は私一人のプレイ。…非常に虚しく感じるのは何故だろうか? 
 その後、延々と敵に殴られ続け、それでもダンジョンのどこか奥深くまで潜り込めた私は100円では得られないプレイ時間と。100円では得られない殴られ度合い、そして100円では得られない虚無感を確かに感じ、『これは2人以上でやるから楽しめるゲームなんだ』と実感し、その日はおとなしく家路についたのだった。

 後日、ガットレットの楽しみ方を周囲に伝えた私は孤独の戦士としてはなく、4人の勇者として再びそのゲームの前に立つ事となった。誰かが『女は嫌だ』と言ったため、じゃんけんでプレイヤーを選択。…またも女剣士は私の分身として活躍してもらう事に…。でもその結果、ダンジョンはより深くに潜り込めるようになり、思った通りに4人プレイはワイワイと楽しめる事となり、体力もアホみたいに多い事からあっという間に我々はガントレットの虜になってしまった。
『また今度やろうね』と口々に言い合い、夕暮れの道路を歩いて帰った事は良い思い出だ。
 とにかく興奮して話していたガントレットだが、まさか台の入れ替えが行われ、まさか次に日に姿を消しているとは思いもよらなかったが…。

 結局、その店で4人でプレイしたガットレットはそれが初めてで最後でした。
 数ヵ月後、隣町に遊びに出ていた私たちの目にガントレットが姿を現した。当時の4人が居合わせていたため、早速あの日を再現するかのようにプレイ! しかも50円! ラッキー!
 でもね、体力700スタートであっという間に全滅…。このゲーム、正規の体力は700だったらしいですね。それを知って2度と近付く事はありませんでした。

 余談ですが、海外でのガントレットは十分な人気があったそうで、それが元で日本にも上陸したとかなんとか。でも、当時の日本人のゲーマーって『ガントレット』というタイトルを見ても『?』としか思わなかったと思うのですよ。なにせ『ガントレット』って防具で言う『籠手』みたいなもので、『それをどうする?』という反応がほとんど…か、どうかは分かりませんが、ピンとこないタイトルだった事は間違いないと思うんですよね。キャラクターの一人である魔法使いなんて、そもそも防具と無縁そうな格好をしていた事ですし。
 このタイトルが日本でイマイチだった理由は宣伝の薄さもあったのでしょうが、やっぱりタイトルが原因たっだのでは? と、このゲームをプレイした率直な感想でしたね。武具にこだわるタイトルであれば、『ソード』とか、『アーマー』といった単語が付くネームの方が年頃の日本人には受けが良かったでしょうし、どこぞのタイトルにもなっていそうですが、『ダンジョンマスター』とか『クエストオブダンジョン』なんてタイトルの方が多少の喰い付きに変化があったのでは? なんて事も考えてしまいますね。ゲームそのものが非常に長編ですので、やり方次第では攻略要素が多分に含まれ、そうでなくとも体力次第で純粋に騒げる内容にもなっていましたので今となれば勿体ない結果論を残すに至り、本来ある筈のゲーム機としての稼働率を喜んで下げてしまったタイトルとも言えそうな事でもったいない話だと考えてしまうのは私だけでしょうか? …まあ、あのゲームスタイルで体力の基準が700というのは大っぴらに『追加投入しろ』と言わんばかりでその辺の考えも改めた方が良さそうではありましたが…。

 そうそう、腕に自信があるならば一人プレイも十分に注目の的となるのでしょうが、そうでなければ2人以上のプレイを強くお勧めしますよ。難しいとか面白いの前に、なんか虚しくなるのです。

 …ところで、珍しく読み返したら随分と長い文面になっていましたね。全部読んじゃいました? 読まなくてもいいですよ(遅い!)。

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