攻略記事

ピクミン(ゲームキューブ)

思い出

 短かった期間とはいえ、ゲームキューブ全盛期の頃に盛り上がったタイトルの一つでしたね。
 私はゲームキューブを所持していなかった身なので詳しい内容こそ当時は知りませんでしたが、世間に知らしめた一曲はあまりにも絶大な威力を秘めていたようですね。
 そこかしこで耳にするその曲は知らされなくとも人気があると知る事ができ、メロディーとテンポを考えれば『癒し系』と言われた理由が簡単に解ります。
 …まあ、何回か聞くうちに歌詞を理解すれば、癒しに浸る感情のどこかに『…?』が浮かび上がるフシギ内容ではありましたが。

 だいぶ前の話ですが、このタイトルが気になって少しばかり動画を拝見しました。
 何と言うか、…ピクミンなのかな? 宇宙人のような花の精のような、そんな小人っぽいのが大勢でミカンを運んでいましたね。一生懸命運んでいました。そのくらいに非力そうで、小さな存在でしたね。
 当然ながら凄く気になったタイトルなのですが、このテのものは自分にとっての当たり外れの差が大き過ぎ、知名度からして当たりの分類に含まれる事が濃厚なのですが…、そうなるとずっぽりハマっちゃうのが私なのですよね。
 強制スクロールのシューティングみたいに自分の意志とは別にゲームが進んでしまう内容ならともかく、こういった自分の思考で右左と動き回るタイプは非常に危険なのです。私にとって。一先ず時間を大量消費する事だけは確実で、生活リズムが崩壊します。確定です。鉄板です。
 まあ、こんなのをまとめて大人の事情と表現する自分が情けないのですが、まぁ、もともとだらしない性分ですからね。先に控える後悔を手前で見極められるならば、初めから手を出さない事が最善策でしょう。
 …という事で、今ではゲームキューブも過去のモノ。近くの中古屋で本体一式含めても5000円としない今現在でも手を出さないでいるのですよ。
 でもやってみたいな~とか思っていますよ。せめて動画だけでも。…とも。
 そんなこんなで早10年以上が経過しました。ヨボヨボ…。

はなうたBGM

 主題歌の題名も歌手も知っておらず、『女性の方が歌っている』と言うだけの情報量でここに記すのもなんですが、そこは私なりの相変わらず、という事で御愛嬌を。
 今回は『BGM』と表現すればきっと違うのでしょうが、このタイトルでの思い出の一曲は、そんな名も知らぬ歌である主題歌ですね。おとぎ話チックで歌詞の全てを知らなければいつの間にか眠ってしまいそうな曲ですね。
 特にお気に入りは『そろそろ遊んじゃおうかな~』という部分ですね。初めは『ピクミン』という名のゲームを我慢していた子供の思いを綴った歌だと思いまして、『遊んじゃおうかな~』の意味に興味が湧きました。自分でソフトを持っていなくとも、そこは当時人気の曲。ラジオやらテレビやらから流れるこの曲を察知する度に意識を集中…。すると、なんだか不穏な歌詞が…。
 え、なに?『食べられる?』『引っこ抜かれる?』『叩かれる?』『それでもあなたについて行く?』
 あれ? DVの一曲なの??
 よくよく聞けば、なんか決して平和的と表現出来ないようなフレーズが含まれ…、違う、非平和的な表現ばかりで構成されている曲…!?
 ま、まぁ、アレですよね。どんな生物にもそれぞれの境遇というものがあり、ピクミン様たちは歌詞の内容を遂行する、または執行される事で幸福感に浸る存在なんですよね?
 私は…、そうですね、この曲のメロディに魅了されたのですよ。きっと…。

人生で一番おいしそうに見えた『ビックカツ』

 世間でピクミンが流行り、そこかしこの店内有線やラジオでピクミンのテーマソングが流れる頃、私はケーブルテレビの電線を取り扱う仕事をしていました。
 このテの仕事は天候によって作業に必要な体力が思い切り左右される業務でして、晴れなら帰りまで元気。雨ならば終始どんより…。みたいな感じになってしまいます。とはいえ、どの業務でも最重要なのはパートナーでして、共に作業するパートナーと仲が良ければ良い程、作業はどんな環境でも快適化し、反対に苦手な相手がパートナーであれば、どれだけ簡単な作業も憂鬱になってしまいます。
 いきなりのネタバレではありませんが、人生で一番おいしそうに見えたビックカツは、そんな電線工事の最中に見る事になりました。
 数日掛かりで市の一角を作業範囲とする大規模な幹線工事の最終日、私のグループは8人構成の工事車両3台、移動車両1台といった、当時の小さな会社にしては大がかりな編成にて業務を進めていました。
 天気は晴れ、メンバーはリーダーが笑顔でよく言うベストメンバーという事もあり、地域問題でなんだかんだと苦情を浴びる中でもワリと笑って困難を払い除けていましたね。

 そんな大規模も終盤、最後の幹線工事を行う場面で雲行きが怪しくなりました。
 季節違いの暑苦しさを思わせた快晴はどこに消えたのか、吹き荒れる北風と共にあからさまな雪雲が登場。思い出したかのような真冬の気温に体が付いて行けず、全員で体をガタガタ震わせる最後の作業に突入です。
 作業内容の割り振りはシンプルにじゃんけんで決める事が多かったのですが、豪運な私は8人中7人がチョキを出す中のまさかのパー。晴れならだれもが選択したがり、それ以外の悪天候なら誰もが嫌がる『ドラム持ち』という役回りが言われずとも決定しました。
『ドラム持ち』というのは未使用の電線をぐるぐるに巻いた巨大なコイルみたいなものでして、身近なものに例えるならば水道に繋げるホースを束ねるアレを想像していただければ判り易いと思います。
 ドラム持ちは物がモノだけに、読んだままに『持つ』わけではありませんが、動く機会が少ない割に重要な役割を秘めています。周囲のいたずら防止や転倒の阻止が目的ではありますが、作業が進むと電線の長さも伸びて作業員の負担も増えるので、向こう側で引っ張られるタイミングに合わせてドラムを押し回し、必要とするだろう長さを間接的に送ってあげるのが一番の役割だと思っていましたね。

 スタート直後は互いにぶつかりそうになるほど近付けた作業者や仲間の会話でワイワイしていますが、作業が進行するほど仲間は遠ざかり、いずれ交差点で直角に折れてしまうためにその姿は完全に見えなくなります。
 ウルトラに予算をケチった会社に『無線』はあらず、携帯電話も費用が自分持ちのため使用する機会もありませんでした。
 誰の姿も見えなくなった頃合いを見計らうように雪は降り始め、とはいっても少し前までの温かさが邪魔になったのか完全なみぞれ状態。雨具を完全に無視したその日の作業服はたちまちずぶ濡れとなり、必然的に持ち場を離れる事を許されない任務下ではひたすら耐える事しかできませんでした。
 向こう側でも思わぬ風とみぞれに作業が難航し始めたらしく、一気に落ちたペースはドラムの動きの鈍り方で一目瞭然です。この日は配線だけに留まり実際に通電しない作業でしたので作業の中断はありませんでしたが、それが解るために無駄な望みも湧いてきませんので、それがまた苦痛でした。
 相変わらず難航する作業の中、一人ドラムを目の前に佇む道路の端っこで私の脳裏に再生された一曲が…、そう、ピクミンのテーマソングです。
 癒し系とは状況に応じて悪夢になるもので、風があり、強いみぞれの中、一人で佇むその脳内で流れる『癒し系』の一曲は言葉にするまでもなく最悪の一言です。例えるならば、『マッチ売りの少女』を実体験しているような、『犬なしフランダースの犬』みたいな、もう寒いとか冷たいとかじゃなくて、一言に虚しいんですよね。たぶん向こう側の現場では真剣な面持ちで業務に取り組む7人が居る筈ですが、私の中では『私を置き去りにして遠くで笑っている7人』に変化していたりして、何が何だか…。
 そんな折、不意に道路の向こう側から女の子の声が聞こえました。小学校を既に下校したらしいどこかの姉妹が会話している所で、その目線は正に私でした。たまにコロコロと押すドラムが気になるらしく、そんな姿を今か今かと小さなスーパーの軒先からこちらを見ているようでした。…不必要に恥ずかしさが込み上げます。
『何してるのー?』
 姉妹の内の妹らしい方がこちらに声を掛けます。普段ならそれなりの返答をする私ですが、寒さに震える私はそれどころではなく、満面の(引きつる)笑顔を送り返す事で精一杯でした。
 そういった私の目線のやや左側で、姉らしき人物が別行動を…。自転車の籠から可愛らしい手さげを取ると、その中から駄菓子屋でよく見る『ビックカツ(30円税別、当時消費税率3%)』が出現。それを私に向け、道路の向こう側で、

『たべるぅー?』

 と一言。…天使でしたね。神々しかったですね。極上の食べ物に見えましたよ、『ビックカツ(30円税別、当時消費税率3%)』。…でもね、残念ながら2車線分の道をまたいで向こう側まで手が伸びなかったのですよ。伸ばせても貰いませんでしたが。私はかじかみろれつの回らない口で『ありがとう、でも、自分で食べちゃいな』というと、そのこは素直に『はーい』と返事をし、パクリと一かじり。…残酷な場面って時にあるものですね。またもピクミンのテーマソング(イントロのみ)が脳内再生されましたよ。悲しかったですね。
 そんな感じの経緯があり、私にとってピクミンのテーマソングは『悲しい曲』なのです。ちょっと笑える悲しい曲ですが…。
 はぁ、また長くなってしまいました。

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