他力本願☆ミルキーウェイ
2話
一松 | こんなところで、笹なんて配ってたんだ…。 |
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十四松 | かぐや姫いるかなー!? |
一松 | いないんじゃない? いても、うちにこれ以上人増えるなんて 無理だから拾わないし。 |
十四松 | でも、かぐや姫ってきれいなお姫様だよ? |
一松 | …………! …それなら、余計無理。 |
十四松 | そっかー! 一松兄さんコミュ障だもんね! |
一松 | お前こそ、タッティになるでしょ。 |
十四松 | うん!なる! 絶対、なる! |
一松 | そんな自信満々で言わなくても…。 |
それより、笹、早く貰って帰ろう。 外暑いし…。 | |
十四松 | うん!そうしよ! 帰って氷風呂入ろう! |
一松 | いや、そこまで極端じゃなくてもいいけど。 |
とりあえず、あの一番小さい笹貰おう。 おれたちみたいな日陰者には、 あれくらいで十分だし。 | |
十四松 | わかったー! おじさん!あの笹下さい! |
あと、あっちのと、そっちのと、 その向こうの一番大きいの! | |
一松 | え…? |
待って、十四松。 そんなにもらってどうするの? | |
十四松 | えっとねー。 さっきの一番小さいのがトッティので、 一番大きいのがおそ松兄さんの! |
それで一番背が高いのがチョロ松兄さんので、 一番ほそっこいのがカラ松兄さんの! | |
一松 | …おれのは? |
十四松 | 一松にいさんのはぁ~~~……。 |
この、幹がやけにうねうねと ねじ曲がったやつ! | |
一松 | ああ、性格歪んでるおれにぴったり…。 |
十四松 | 一松兄さんのはね~。 いろいろ寄り道してるけど、 なんだかんだでどうにかこうにか 上に伸びてってる感じ! |
一松 | …………! |
…そっか。 | |
十四松 | それじゃぁ、おうちに帰りぃ~ マッスルマッスル!ハッスルハッスル! |
一松 | 待って十四松、 おれも持つの手つだ…。 |
十四松 | ??? 今、一松兄さんの腰から 聞こえてはいけない音がしたよ? |
一松 | 大丈夫…大丈夫だから、 家、早く帰ろう…。 |
十四松 | ラジャー! わっしょい!わっしょい! |
一松 | わっしょい…わっしょい…。 |
…………。 | |
トド松 | へー、 折り紙だけでなかなか面白い 七夕飾りが作れるんだね。 |
あ、こっちのやつも面白そう。 この提灯が出来たらこれ作ろうっと。 | |
カラ松 | トド松、さっきから何を調べている? |
トド松 | スマホで、七夕飾りの作り方を調べてるんだ。 結構お手軽に作れるものなんだね。 |
カラ松 | ふっ、勉強熱心だな。 さすが、オレたち松野家の末っ子。 |
トド松 | あんま褒められてる感じはしないね。 カラ松兄さんは何作ってんの? |
……って、なにこれ? | |
サングラスに……変なベルトに…… ネックレスに……薔薇の花? | |
は? こんなの何に使うつもりなの? | |
カラ松 | 何を言っている。 今は七夕飾りを作る時間だろう。 |
トッティはうっかりだな。 | |
トド松 | あー、なんでカラ松兄さんと2人で 飾りづくりするのOKしちゃったんだろって 思い始めてきた。 |
つまり、これ全部 七夕飾りとして笹の葉に飾るつもりってこと? | |
カラ松 | ああ、そういうことだ。 笹の声が、このオレの耳に届いたからな。 |
トド松 | 笹の声……? |
カラ松 | そう、笹の葉の声にならぬ叫び、 もっと輝きたい。もっとかっこよくキメたい。 |
そう、このオレ、カラ松のように……! | |
だからオレは、その願いを叶えることにした。 この七夕という聖なる日に、この国に飾られる どの笹よりも眩しくお前たちを輝かせると……! | |
トド松 | で、このサングラスとかその他イタイ諸々を 笹に飾ることにしたと。 |
カラ松 | そういうことだ。 |
トド松 | もうボク突っ込むの嫌だから何も言わないけど、 とりあえず一緒の笹に飾りたくない。 |
カラ松 | 安心しろ、トッティ。 オレの完璧な飾り付けが崩れるのを 危惧しているのだろうが、 その程度でオレの生んだ輝きは褪せはしない。 |
トド松 | うん、そっか。 |